カナディアンロッキーズ 2001.08.

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ラーチバレートレイル最奥部のミネスティマ湖畔
対岸の最も低い部分がセンチネルパス(鞍部)で、その
向こう側には広大なパラダイスバレーが広がっている
はずですが、今回は時間が無くここまででした。
山の向こう側に広がる330km2(淡路島の60%)の
コロンビア大氷原から流れ出ているアサバスカ氷河
 

2001.08.11.〜08.15. 夏のカナディアン・ロッキー(バンフ、レイクルイーズ、モレーン湖&ラーチバレートレイル、エメラルド湖、コロンビア大氷原)
1-1
LeicaR8、R7、SA21/4、R28/2.8(旧)、R100/2.8マクロ、R35-70/3.5、R80-200/4、Apo×2; RHP、RDPIII; C-PL(一部のカット); 三脚使用、一部手持ち

1-2
EOS-1N、EF28-135/3.5-5.6IS、75-300/4-5.6IS、Σ24/2.8、Σ180/5.6Apoマクロ;
RVP、RDPIII、C-PL(一部のカット); 三脚使用、一部手持ち

 
 長いこと人間をやってきて、初めて海外に行ってきました。

 2001年の盆休みは、98年の夏、横尾まで入りながら地震・雷・大雨・洪水・崖崩れ警報が出て逃げ帰った槍ヶ岳に登るつもりでしたが、7月の終わりに webでカナデイアンロッキーの予約の問い合わせをしたらフリープラン5日間のツアーにまだ空きがあるところが見つかり、急遽そちらに行くことに変更しました。  似たようなことをお考えの方もおいでになるだろう と思い、少々体験談を記します。

はじめに
 今回のカナディアンロッキー訪問で最も感激したのは、国立公園が本当に自然のまま保たれていることでした。市街地であるバンフの街でさえこの数10年の間、僅か1mも区域の変更が行われていないそうで、開発・建築等の規制も非常に厳しいようです。

 日本では、国土交通省や県が「防災」や「今後の需要予測」を口実に、本当は、ゼネコンに税金を工事代金としてつぎ込み、そこから公務員というより公務屋(公務員の立場を利用して金稼ぎをする者)や政治屋(政治家をかたってその立場を利用して金稼ぎをする者)が我々の汗水の税金をポケットに入れる ことだけが目的のダム工事、砂防(砂暴)ダム工事営林署による似たような原生林の伐採と喰林、おまけに最近は国立公園を保護すべき環境省による「外観ばかりで役に立たないビジターセンターの目に余る建設」や「登山道改悪工事」 が国立公園の至る所で目につき、南北日本アルプス、白山、上高地等々を訪ねるたびに腹立たしい思いをさせられていますが、今回のカナダ訪問で、ますますその思いを強く感じさせられました。 まあこれは、国民がもっと賢くなって、公務屋や政治屋が言うこと・やることは一旦すべて疑ってかかり、しっかり監視し、選挙でしっかり選択できるようにならない限りは愚痴にもならないことではあります。また長野県の田中知事の様な方を総理大臣にできればいっきょに改善されることかもしれません。 しかしながら個人的にはそんなことを待つよりは、これらの無駄遣いで1〜数年以内に99.99%沈没する日本と、それを見過ごしてきて今なお小泉ごとき食言屋にしがみついている日本人にさっさと見切りをつけ、カナダに「巨泉する」方が手っ取り早い気もしています。


 旅行会社から飛行機とホテルの予約が取れたとの連絡を受けてから出発まで10日しかなかったこととフリープランであることから、大急ぎで数冊のガイドブックと旅行英会話の本を買い込み、不足の情報を webで収集して大まかな予定を立てました。
 
@さわりでもよいからカナディアンロッキーの風景写真を撮ること
Aまたの日の余裕のある訪問のため、生の情報を収集すること
Bこれらのため、手頃なコースのデイ・ハイキングをすること
を目的にし、滞在時間が2日と少ししかないのでバンフを中心にレンタカーで移動することにしました。
 
 初の海外旅行で、英語もろくに話せないのにガイドもつかず、初めての土地でレンタカーで右側走行、治安がよいといってもどの程度かもわからない、と気になることはたくさんありましたが、 webで見てみると結構このような方がおいでになるようなので、踏ん切りました。 結果的にはレンタカーが大変役に立ちました。

 @ABと決まったので準備に取りかかりました。

 レンタカー
 レンタカーの受け渡しの場所と時刻が最大のポイントになりますので、旅行会社に問い合わせてホテルの場所と現地到着予定時刻を確認しました。そのあと Webでカナディアンロッキーのレンタカーを検索し、見つかったエイビスの日本代理店にe−mailで予約を入れました。申し込んだのは1600ccのコンパクトクラスで、1時間ほどで回答がきました。ほぼ希望どおりの内容でしたが、車の受け取りはエイビスレンタカー社バンフ営業所、その日は土曜日なので16:30までに受け取れ ということでした。平日は18:00までだそうです。 カルガリーからのバスの到着予定が15:00頃なので、16:30というのは、途中アクシデントがなければ十分間に合うだろうという時刻でした。
 がこれには余談があり、旅行会社がバンクーバーとカルガリーとの1時間の時差を忘れていたため、カルガリーについてから実際は30分しか余裕が無いことが分かり、冷や汗をかく羽目になりました。バンフについたのは予定どおり?16:00でしたが、その後ガイドさんのガイドでバンフ市内のホテルにチェックインをすませたら残り時間15分、地図で調べておいたときはすぐ近くにあったエイビスレンタカー社バンフ営業所はなかなか見つからず、思いあまって手近の両替所に飛び込んで片言の英語で質問したところ日本語で答えが返ってきて、おかげさまで3分前に営業所に飛び込むことができました。まさにラッキー、すべり込みセーフの思いでした。

 関空で、必要な日本の免許証をうっかりして自宅に置いてきたのに気づき、青くなりましたが、問題は車の受け取りなので、何か言われたらレンタカーの営業所員に高額のチップ?で目をつぶってもらおう、それがダメだったらオプショナルツアーに切り替えようと自分を納得させていました。が、現地では提示も求められずに済みました。でもお礼のつもりで車を返すとき、営業所員に片言の英語で「お宅の車で2日間大変楽しませてもらった。非常にありがたかった。」と言いながら50C$を渡しましたが、相手は本当の意味はわからなかったと思います。
 
 運転、駐車場
 右側通行が問題と聞き及んでいましたが日本では練習もできないので、行きの飛行機の中で、交差点での曲がり方特に日本と反対側の車線に入る場面についてと、安全確認、駐車の3点を重点的にイメージトレーニングしました。 向こうは大阪のように無理な割り込みが無いうえ車間距離が大変長いので、これだけで初心者でも危険な目に遭わずにすみました。 
 結局2日間でちょうど600kmを走り、宿泊したバンフからレイクルイーズをゆっくり2回撮り周り、モーレン湖から往復5時間のラーチバレーをデイ・ハイキングし、エメラルド湖とコロンビア大氷原を訪ねることができました。

 駐車場のスペースは日本よりはだいぶマシですが、レイクルイーズ、モーレン湖、エメラルド湖のそれはかなり混雑するようです。2度訪ねたレイクルイーズでは、バンフのホテルのレストランがAM7:30からでしたので朝食を食べていると遅くなると思い、どこかで適当にすますことにして早めに着くようにホテルを出ましたので楽に駐車できましたが、2時間後に移動しようとしたときは満杯で、30分ほどの行列が出来ていました。1回目のレイクルイーズから回ったモーレン湖は広い駐車場があるにもかかわらず駐車場の手前に長い行列が出来ていて、国立公園レンジャーに車を止められ、ここ(道路の右端)に置いて歩け といわれました。駐車場に向かって10分ほど歩いていると帰る車が目につくので、戻って車を動かし駐車場まで行ったらちらほら空きが出来ていて、そこに留めることが出来ました。 駐車スペースが空いたからといって日本のように合図をする人もおらず、レンジャーも職務分掌があるのか後からくる車を次々と止めるだけで帰る車のことは考えていないようでした。
 エメラルド湖の駐車場はレイクルイーズのそれと似たような状況でした。
 
 ほとんどの観光客は1時間ほどで他の観光地へ移動しますので、待つ時間は短くて済みそうです。

 英会話
 10年以上前に通信教育で4ヶ月ほど自己学習したきりでしたので、全く自信はありませんでした。バンクーバー空港での乗り継ぎとホテルのチェックインは現地のガイドさんがやってくれるとのことでしたので、自分たちに必要なの通関、両替、車の受け取りと返却、ガソリン購入、食事の注文、ショッピング、これらの支払い の会話で、やばいのは万一のアクシデントのときのみと腹をくくり、買い込んだ旅行英会話ブックと付属のテープで出発までに10時間ほど練習をしました。あとはブックを現地に持っていき、話す必要が生じたら直前にブックの該当フレーズを数回繰り返し、そのまねと応用で何とか過ごしました。現地での7回の食事のうち宿泊したホテルでの食事は1回だけ、他は全て片言英語でオーダーし会計を済ませてきました。 もっとも、ショップ、ホテル、両替所など日本人観光客を当て込んでか日本人や日本語堪能の店員をおいている店が結構目につきましたので、「全然だめ」でなければ英語で苦労することは少ないように思えました。
 ともかくガイド付きツアーよりは生の情報にふれる機会を多く持つことが出来た と思います。

 現地情報と観光案内所(バンフ・インフォメーション・センター/バンフ・ビジター・センター)、ガイドブックと地図
 日本ではカナディアンロッキーのデイ・ハイクに役立ちそうな情報として手に入ったのは、山渓のガイドブック一冊と登山用品店のツアー・パンフレットだけでしたので、レンタカーを受け取った後、すぐにバンフの中心部にある観光案内所に飛び込み、現地案内のパンフレットをいただき、中の売店で販売していたガイドブックと地図を数冊買い込んで、ホテルで最終コースと行動予定時刻を決めました。
 観光案内所は、上高地や立山室堂などのビジターセンターのガイドの機能を強化し、さらに売店を設けたようなもので、ガイドと観光やハイキング用パンフレットの無料提供を行い、出版社の詳細な地図・ガイドブックや軽装備を販売しています。現在の「熊」情報や危険区域などもここで教えてもらえます。5人ほどの担当者がいましたが、みんなとても親切にガイドしていました。中の壁に掲示されているNewsを見るだけでも役に立ちますので、カナディアンロッキーのハイカー・登山者は事前に必ず寄るべきところでしょう。
 
 カナディアンロッキーのハイカーや登山者にとって「熊」情報は大変重要で、ルートの途中で「この先立ち入り禁止」になることがあり、今回のルートでも2時間ほど登ったところに「ここからは6人以上のグループで行動せよ。少人数のグループは他のパーティが来るまで待て。」との標識が立っていました。ただ、監視する人はいませんので自己責任で無視するのは自由でした。私共がモーレン湖の畔を登り始めたのは午後1時ころと遅めでしたから後から来る人はおらず、しばらく様子を見ていたら進行方向から2・3人のパーティがいくつか戻ってきましたので、熊避け鈴を鳴らしながら進むことにしました。

 カメラ
 気になったのは、カナダの治安、観光地や景勝地で三脚を使えるかどうか、どの程度人目に付くか(個人旅行では目に付かない方が安全ですから)の3点でした。カナダ特にカナディアンロッキーの治安は大変よいとは聞いていましたが、程度がわからず、たいら用の機材をライカR8とニコンF80Sのどちらにするかでかなり迷いました。結局は、北米ではニコンの方がねらわれやすいとの風評と、自分の気持ちはRでしたのでRを中心にすることにし、上記のライカRシステム一式をFoxファイアの30Lのカメラザックで持っていきました。おと用には、通常より1ランク下げるとともに、三脚が使用しにくい場合を考えISレンズを中心にし、25Lの市販カメラザックに入れました。ともに当然に機内持込です。三脚は使えなければレンタカーのトランクにでも入れておけばよいと思い、ベルボンのカルマーニュ640Nと530の2本を用意し、他の携行品とともに旅行トランクに入れました。
 空港でのX線検査によるフィルムのカブリについては、 ISO1600までは心配不要となっていますが、念のため30本は市販のX線防護袋に入れました。帰国後の現像結果では防護袋に入れなかった分も含めてカブリはありませんでした。使ったフィルムの感度は50〜400です。

 結果的には、知らないまま日本で心配していたことは全て杞憂に終わりました。
現地で撮影に三脚を使っている人はかなり少なかったのですが(レイクルイーズでは7・8人位)、カナディアンロッキー最大の名所で最も観光客が多いレイクルイーズでも日本の観光地のような混雑はなく(夏や紅葉の時期の上高地や立山、北アルプスと比較すると天国と地獄でした)、ごく僅かな好奇の目を感じた程度で、少し他の人に気を遣えば三脚を使おうが長い望遠レンズを出そうが、何の問題もありませんでした。またザックを背負ったまま、R7をぶら下げたまま、夜のバンフ市街を歩き回り夜景の撮影をしたときも、「フランスやイタリアその他にカメラを持っていき被害にあった」というような雰囲気は全く感じませんでした。 
 考えてみれば、ほとんどの人が観光客であり、自分が観光したり記念写真を撮ったりで精一杯なわけですから、他人のことなど気にならない ということなのでしょう。
 それでも、おとは、「バンフの街で後ろを歩いていたとき、背負っているカメラザックを道際でたたずんでいる感じの人がずーと目で追っていたようだ。」と言っていましたので、隙を見せるのは禁物のようです。


最後に
 今回のカナディアンロッキー訪問で最も感激したのは、国立公園が本当に自然のまま保たれていることでした。市街地であるバンフの街でさえこの数10年の間、僅か1mも区域の変更が行われていないそうで、開発・建築等の規制も非常に厳しいようです。

 日本では、国土交通省や県が「防災」や「今後の需要予測」を口実に、本当は、ネコンに税金を工事代金としてつぎ込み、そこから公務員というより公務屋(公務員の立場を利用して金稼ぎをする者)や政治屋(政治家をかたってその立場を利用して金稼ぎをする者)が我々の汗水の税金をポケットに入れる ことだけが目的のダム工事、砂防(砂暴)ダム工事営林署による似たような原生林の伐採と喰林、おまけに最近は国立公園を保護すべき環境省による「外観ばかりで役に立たないビジターセンターの目に余る建設」や「登山道改悪工事」 が国立公園の至る所で目につき、南北日本アルプス、白山、上高地等々を訪ねるたびに腹立たしい思いをさせられていますが、今回のカナダ訪問で、ますますその思いを強く感じさせられました。